「ボーン・クリエイティヴ」、
略して「ボンクリ」。
これは、「人間は皆、生まれつきクリエイティヴだ」という意味。
僕が行っていた福島県相馬市での作曲教室では、5歳から高校生までを対象に世界から新しい音楽のエキスパートの演奏家を迎えて特殊技法等をみっちり紹介し、その場で子供達が新しい音楽(現代音楽と呼ぶ人も多いかも知れない)の作曲をする。しかもすべての音や指示を楽譜にきちんと記し、自分の作曲した作品をその場でプロの演奏家に演奏してもらう。そんな演奏家は、子供達が作曲中、子供達からの様々な楽器に対する質問に答え、試し弾きをしながら小さな作曲家たちとコラボレーションする。子供たちのアイディアを楽譜にし、時には言葉が通じない海外からの演奏家らに問題なく自分たちの音楽を演奏してもらうスペシャルな環境だった。
この作曲教室を何年か継続していてわかったことは、全ての人間は子供の頃、「新しい音楽」「新しい音」、そして5歳の子供の言葉を借りると「変な音」が好きだったということだ。なぜかそのクリエイティヴィティは成長するにつれ、失われていく。この「ボンクリ」では、大人になっても5歳の子どものままクリエイティヴでいる人達の作品を紹介。子供から大人までが新しい音楽に触れ、楽しめるイベント。一緒に音を体験するワークショップもあり、即興音楽もあり、エレクトロニクス(電子音楽)も、アンサンブル作品もある。東京芸術劇場館内に「新しい音楽」が満ち溢れる。
一生分、少なくとも1年分の“世界中の新しい響き”を堪能することができるまたとない機会。
3月1日は是非芸劇へ!