Program

大人ボンクリ

ボンクリ・フェス2023のアーティスト選曲による“出演者なし”の電子音楽コンサート。
コンサートホールが巨大なリスニングルームに変身。コンサートホールに設置されている無数のスピーカーをふんだんに使い、選りすぐりの電子音楽に浸ることができます。

fujikura-comment
大人ボンクリは、毎回、ボンクリのコンサートの中で、一番リッチな、コンサート体験だと思います。
何がリッチか、というと、電子音楽(録音作品)が、2000席の素晴らしい音響のホールで、響き渡る体験ができるからです。大きなホールの響を生かし、そういう状況の中で最高の音で流すための準備も大変です。
そんな大ホールで、電子音楽を体感できる、ということだけでなく、自由に移動して様々な場所で聴くことができるのもこの「大人ボンクリ」の醍醐味です。それは、多分、飛行機の最高級のファーストクラスで、となりの人のことなど気にすることなく、自由に座る席を試せることと同じぐらいの最高な体験だと想像します。飛行機のそういう席は乗ったことないのですが。
音は生き物です。お家のスピーカーもちょっと場所を変えただけで全然音が違いますよね?それが、あんな大きなホールだと、座る場所によって、全く聞こえ方が違います。体験も違ってきます。1階席からバルコニー、2階席、などなど。生の演奏家のいるコンサートなら演奏中移動して聴くということはできませんよね?
なので、この「大人ボンクリ」ばっかりは、ホールに来てもらわないと絶対体験できないことですし、それが体験できるのはボンクリのみ、なのです。
information
日程 2023.7.8(土) 
start 19:00 / open 18:30
会場 コンサートホール Concert Hall
楽曲シークエンス Nagie
チケット 入場無料・全席自由

※出演者のいない公演になります。
※「大人ボンクリ」への未就学児のご入場はお断りいたします。

Program

マヌエラ・ブラックバーン:スウィッチ・オン (7:58)
Manuella Blackburn: Switched on

檜垣智也:紙の声、 (5:00)
Tomonari Higaki: Kami No Koe “voice of paper”

ルイス・キンタナ:廃品置き場の建造物:なぜスイングを止めるのか? (8:14)
Luis Quintana: Junkyard Construction: Why stop the swing?

クリスチャン・ザネジ:水中庭園 (8:38)
Christian Zanési: Jardin sous l’eau

サノス・クリサキス&フィリップ・ソマーヴェル: ノティド・アレンビックV (9:16)
Thanos Chrysakis & Philip Somervell:Knotted Alembic V

アナスタジア・ヴィノグラドヴァ:エレクトロニック・エチュードⅠ (9:25)
Anastasia Vinogradova: Electronic Etude I

マトモス:今宵の月は… (7:37)
MATMOS : Tonight there is something special about the moon _ Jaki Księżyc Dziś Wieczór…


曲目紹介 Program notes

マヌエラ・ブラックバーン:スウィッチ・オン
Manuella Blackburn: Switched on
この作品は、私の自宅や職場から集めたスイッチ、ダイヤル、ボタンの音を探ることから始まりました。特に興味深いのは、古いテレビの電源を入れたときの音で、電源が入る前に高周波のピッチと静電気のフラッターが連続して発生します。この音を低音に移調すると、通常は聞こえない電子音のような周波数の集まりが現れ、特徴的な音になります。また、これらのスイッチ音は非常に短いものでありながら、複雑なグループ化、滝状の流れ、爆発的な華やかさへと集積されています。このような側面に加えて、無意識のうちに無機物がパワーアップしていく様子や、押し寄せた電気が流れ、回路を通して音を立てるというコンセプトにも特に惹かれました。第7回 Métamorphoses 2012(ベルギー)第1位受賞作品。(マヌエラ・ブラックバーン)
選定者:牛島安希子


檜垣智也:紙の声、
Tomonari Higaki: Kami No Koe “voice of paper”
痕跡、仲介、非常時への接近。詩人・吉増剛造の日々の営みである紙を貫かんばかりのエネルギーに満ちた臨写の記録でもある。本年2月に発表した同氏のテキストと朗読によるサウンド・オペラ『石ノ巻ハ、ハジメテノ、紙ノ声、……』のために収録した音を中心に再構成した。(檜垣智也)
選定者:檜垣智也


ルイス・キンタナ:廃品置き場の建造物:なぜスイングを止めるのか?
Luis Quintana: Junkyard Construction: Why stop the swing?
昨年に引き続き、ルイス・キンタナの作品を取り上げます。この作品は一つ一つの素材を丹念に聴取して作られており、それぞれの音のエネルギーとそれらによって紡ぎ出されるドラマトゥルギーが大変魅力的です。ルイスは電子音響音楽のジャンルで伝統的に探求されてきた要素、テクスチャーや音色から距離を置いた言説の構築を試みており、この作品ではそれが成功していると感じます。この作品はヤニス・クセナキス国際電子音楽コンクール(2021)で1位を受賞しました。(牛島安希子)
選定者:牛島安希子


クリスチャン・ザネジ:水中庭園
Thanos Chrysakis & Philip Somervell:Knotted Alembic V
《Knotted Alembic V》はピアノの内部奏法、シンセサイザー、ラジオ、ヴィブラフォンを使用した即興演奏作品。2008年にロンドン大学ゴールドスミス・カレッジの電子音楽スタジオ にて録音され2011年に「Aural Terrains」レーベルよりリリースされた。
フィリップ・ソマーヴェルはブラジル・サンパウロで活躍する即興演奏家。ピアノ、パイプオルガン、電子楽器を演奏しライブプロセッシングも行う。サノス・クリサキスはギリシャ人の作曲家・サウンドアーティスト。電子音楽、現代音楽での即興演奏家として知られる、「Aural Terrains」レーベルも運営。
選定者:Nagie


アナスタジア・ヴィノグラドヴァ:エレクトロニック・エチュードⅠ
Anastasia Vinogradova: Electronic Etude I
ある日、会ったことはないけれどFacebookで時々音楽の話をする若い作曲家の方から、この作品を教えてもらいました。多分教えてくださった方はアメリカ人の男性で、僕が名前も聞いたことのない様々な作曲家の作品を詳しく知っている人です。その人が、この作品の作曲家 アナスタジアさんのことを紹介してくれました。どうしてそんな話題になったのかも覚えていない。でもそんな時に、紹介してくださった作品とは別の彼女の作品がとても僕は気に入って、ボンクリ・フェスで紹介できないか、連絡を取り、実現に至りました。(藤倉大)
選定者:藤倉大


マトモス:今宵の月は…
MATMOS : Tonight there is something special about the moon _ Jaki Księżyc Dziś Wieczór…
マトモスはアメリカ・サンフランシスコ出身、1998年より長きにわたってエレクトロミュージックを牽引してきた電子音楽デュオグループ。本作は「ポーランドの現代音楽の父」と呼ばれるボグスワフ・シェッフェルにインスパイアされ、ポーランドの国際文化交流活動を推進する文化機関である Instytutu Adama Mickiewiczaよりボグスワフの音源使用許可を得てマトモスのトラックと融合させた。ポーランドの現代音楽をリスペクトした異色作品です。
選定者:Nagie


交通アクセス
東京芸術劇場
東京都豊島区西池袋1丁目8-1
JR・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線 池袋駅西口より徒歩2分
駅地下通路2b出口と直結しています


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