特集:ドニ・デュフール Denis Dufour 作品(プログラムA、B、C) 
プログラムD|大塚勇樹/モレキュル・プレーン作品特集 
プログラムE|ダフネ・オーラム Daphne Oram 作品特集 
「私は電子音楽と、いささかのミュージック・コンクレートの技術を使って、作曲を続けているが、思いは常に、いつか当初の夢に立ち戻ることである。(中略)記号を普通の紙にフリーハンドで描き、それを機械に読み取らせ、出来上がった音を磁気テープに録音する。こうして、何層もの音楽ができあがっていく。装置自体はロボットではなく、作曲や素材の選択にも関与しない。もし作曲家がこの新しい記号のアルファベットでジャズや軽音楽を書いたなら、装置はそれを音として『録音』し、作曲家がその記号を並び替えたなら、機械は作曲家が示した通りに反応する。——つまりその装置そのものに『心』はない。」
(Daphne Oram 1962, Journal of the composer’s guild of Great Britain No.9 Spring)
ダフネ・オーラム年譜] 1925年 イギリスウィルトシャー州に生まれる 
参考文献 
  
プログラムF|池田拓実、田代啓希、永松ゆか、牛山泰良、中島弘至、天野知亜紀、岡田智則作品 
音楽は時間芸術と言われるが、時間とは専ら個々人の記憶の作用であり、幾何学化された時間概念とは認識の牢獄に他ならない。時間的要素を可能な限り弱体化させることで音楽は時間外構造に近づく、あるいは未知の時間概念を示唆するかも知れない。ここでは空間を渡り歩く経路を只管列挙することで"可能性そのものの空間"を垣間見る。周波数領域では純正五度を枠とする非オクターブ音律を構成。Д.ハルムスのテキストを使用。PROFILE 
池田拓実 |コンピュータ音楽家。作曲家。作曲とプログラミングを独学。SuperCollider、Ruby、Processingを主に用いる。演奏家・演奏団体のための作曲のほか、近年はMusical Procedureと称する手続き的演奏・作曲法に取り組み、即興音楽家やダンサーと共演。木下正道・多井智紀と共に「電力音楽」として活動。OFFICIAL SITE  (2)田代啓希「Point of No Return」作者のコメント
PROFILE 
田代啓希 |神戸市出身。音響作家として自由なイメージを想起できる音をテーマに作品制作に取り組む。またエンジニアとして音のみならず、映像配信に関する技術サポートも行っている。これまでに、CCMC(東京)、FESTIVAL FUTURA(仏)、ボンクリ・フェス(東京)などで作品を上演。CCMC2019にてFUTURA賞、2020にてMOTUS賞を受賞。大阪芸術大学大学院博士前期課程修了。京都精華大学非常勤講師。(3)永松ゆか「イチジクとイチジクコバチ」作者のコメント
PROFILE 
永松ゆか |大阪芸術大学大学院博士前期課程修了、電子音響音楽の創作や研究に携わる。相愛大学音楽学部助教、帝塚山学院大学リベラルアーツ学科情報クリエイティブ専攻非常勤講師。CCMC(東京)、Prix PRESQUE RIEN(フランス)コンテスト入賞、ラジオ・フランス(INA・GRM)、The Lake Radio(デンマーク)など放送やコンサート上演を中心に活動をおこなう。(4)牛山泰良「百物音 -しねん楽より」作者のコメント
PROFILE 
牛山泰良 |1989年12月長野県諏訪市に生まれる。電子音楽,サウンドアート作家、音響エンジニアと活動は多岐にわたる。エリザベト音楽大学,相愛大学非常勤講師。2014年に仲間と共に電子音楽カンパニー「hirvi」を立ち上げ、電子音楽のワークショップやコンサートを企画・運営している。創作においては伝統と前衛、音と空間を内包した創作を目指す。PROFILE 
中島弘至 |若い頃、音楽大学を卒業した。その後、音楽とは無縁の長いサラリーマン生活を送った。いま仕事の重荷から解放され、新たな目標に思いを巡らせたとき、音楽への情熱が蘇ったのである。ミュージック・コンクレートとは「具体音楽」と訳され、あらゆる音が作曲の素材となりうる。大阪芸大の恩師との出会いから、ミュージック・コンクレートの存在を知った。幸運にも大学院という研究機会を得た。思う存分、作品を生み出したいと思う。(6)天野知亜紀「gyration」作者のコメント
PROFILE 
天野知亜紀 |音と映像、鑑賞者の相互作用を意識した複合的な表現による作品を手掛ける。アクースモニウム作品を作曲する他、「アンサンブル瀬⼾内」にて編曲・作曲を担当。また、音楽×彫刻によるユニット「symbi」ではサウンドインスタレーションの展示などの活動を行う。PROFILE 
岡田智則 |広島出身。録音技術やプログラミングを中心に、サウンド・テクノロジーを用いて制作を行うサウンド・アーティスト。アクースモニウム奏者。現在、地方を中心に、現代音楽作曲技術を用いた地域活性・古民家再生事業に取り組む。「CCMC2017」Futura賞入賞。「Prix Presque Rien2017」入選。長久手市長賞受賞。電子音楽の上演だけでなく2019年9月には、「愛知県立芸術大学ポピュラー・クラシック・コンサート」で、2管編成によるオーケストラ作品『ヤマタノオロチ』が世界初演されている。
  
プログラムG|宮木朝子、フランコ・デグラシ、ユミヤマシタ、マ・ユンジュ、石原遼太郎、新美術作品 
「Opera acousma III」の1シーン。タイトルはモルフォ蝶、モーフィング、フォリアの意味を組み合わせた造語で、モーフィング技術によるサウンド処理を行なっている。音素材として、無響室で録音された声、砂の音、石をこする音なども使用。バルセロナの音楽レーベルAmbient fluxのコンピレーションCD V/A::Synthesis<2(Ambient flux)に収録されている。
PROFILE 
宮木朝子 |作曲家、空間音響作家。現代音楽を起点に、映像-香り-身体-特異な場などと関係を結ぶ音響制作とその空間展開を行う。サラウンド音響作品『Afterimage』により「坂本龍 一|設置音楽展コンテスト」最優秀賞受賞。コニカミノルタ・プラネタリア東京「星空ラウンジ」にて、22.2chのための空間音響展示『平均律 22.2ch Remix』を継続中。(2)フランコ・デグラシ「in a field / a leaves」
PROFILE 
フランコ・デグラシ Franco Degrassi |作曲家、即興演奏家。アクースマティック音楽や電子音響即興のCDをCreative Source Recordings, Portugalなどからリリースしている。フュチュラ音楽祭など世界中の音楽祭で作品が上演されている。2005年にジョナタン・プラジェと共にアクースモニウムM.ar.eを、 2014年にはイタリアのバリにSilenceフェスティバルを設立。(3)ユミヤマシタ「スーパーヒモサウンド」作者のコメント
PROFILE 
ユミヤマシタ |大阪芸術大学音楽学科卒業。在学中より電子音響音楽の制作を始める。ボンクリフェス他に出品。hirviのメンバー。今年7月にhirviとしての初音源集「CERVICORN」を発売。(4)マ・ユンジュ「L’Astronome」作者のコメント
PROFILE 
マ・ユンジュ Yun-Ju MA |作曲家、ピアニスト。1992年台湾生まれ。5歳より音楽の勉強を始める。幼少よりピアノを始め、台湾で15年以上音楽学、音楽史、和声、分析、音楽理論などを学ぶ。そして2014年に日本に渡り、相愛大学で松本直祐樹氏に師事し、器楽作曲の勉強を続ける。2016年電子音楽に出会い、檜垣智也氏に電子音楽作曲を学ぶ。以来、アニメ音楽、室内楽、吹奏楽の作曲を依頼され、コンサートを行っている。フランスや日本の音楽祭ではアコースモニウムで演奏されている。2019年パリ市立音楽院に入学し、電子音響作曲をドニ‧デュフール、ポール‧ラマージュ、分析をジョナタン・プラジェ各氏に師事する。(5)石原遼太郎「Aria (rethink)」作者のコメント
PROFILE 
石原遼太郎 |神奈川県出身。東海大学教養学部芸術学科音楽学課程在学。ジャズ、電子音響音楽、インスタレーションなどを中心に作品を製作。PROFILE 
新美 術 |大阪芸術大学在学中に電子音響音楽に出会う。MAXによるアルゴリズミック・コンポジションを学ぶ中で、自身の勤める幼児教育分野への応用を始める。音楽理論を学ぶ前の幼児期にこそ、身の回りで鳴り響く音そのものへの興味、音楽する楽しさ・表現する喜びを伝えるべく、その方法論を日々模索中。  
プログラムH|sachiko nagata x chiharu mk 、渡辺愛、林暢彦、仲井朋子、佐藤亜矢子、李英姿作品 
(1) sachiko nagata x chiharu mk「blue flow iii」作者のコメント
PROFILE 
永田砂知子 |打楽器奏者。東京藝術大学打楽器専攻卒業。90年代より活動の場をクラシックから実験音楽の世界へシフト。鉄の金沢健一や、陶の渡辺泰幸など美術家のサウンドアート作品にかかわりだす。1997年に出会った齊藤鉄平の「波紋音(はもん)」で全国各地、海外でも活動。2009年波紋音パリ公演の際、ベルナール・バシェと出会う。以後、万博・鉄鋼館に残されたバシェ音響彫刻の修復や展覧会などにかかわる。2015年バシェ協会設立・会長を務める。OFFICIAL SITE   バシェ協会 PROFILE 
chiharu mk |フランスGRMで電子音響音楽を学ぶ。1st Album「piano prizm」が国内・海外で話題となる。Out of the concert hallをテーマに横浜三渓園旧燈明寺、モエレ沼公園、水族館巨大水槽前ほかでライブパフォーマンス。香港アートセンター40周年記念事業にゲスト出演。2020年中国・麗江で滞在制作中にコロナで緊急帰国。昨年はイギリスのアート・ラボ「IKLECTIK」と「ZAPT」委嘱による新作を発表。OFFICIAL SITE  PROFILE 
渡辺 愛 |アクースモニウム演奏家。パリ国立地方音楽院修了、東京藝術大学大学院博士後期課程修了。JAPAN2011受賞(イタリア)、国営ラジオでの放送(フランス)、ICMC2018(韓国)、RADIO SAKAMOTO(presented by 坂本龍一)での放送等国内外で評価を得る。東京藝術大学・昭和音楽大学・玉川大学各非常勤講師。日本電子音楽協会理事。JWCM女性作曲家会議メンバー。PROFILE 
林 暢彦 |音響作家。1992 年愛知県⽣まれ。電子音楽、インスタレーション、NFT、映画音響など、幅広い領域で制作。OFFICIAL SITE  PROFILE 
仲井朋子 |テクノロジーを軸とした音/音楽表現を基軸に、空間の在り様を問う様々な作品形態に取り組んでいる。作品は、音楽と装置のトポロジー(東京藝術大学陳列館)、「青森 EARTH2014」(青森県立美術館)、マテリアライジング展III(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)などで演奏、展示されている。
(5)佐藤亜矢子「rabbit locked in the kitchen」(2022、日本初演)作者のコメント
PROFILE 
佐藤亜矢子 |作曲家。主に電子音響音楽の領域で活動。旅先や日常で録音する音を素材とし、環境や場所の記憶を辿りつつ上書きするような作品を作っている。ICMC、SMC、NYCEMFなど10カ国以上の国際学会や音楽祭で作品を発表。東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。作曲家リュック・フェラーリの研究で博士(学術)取得。現在、玉川大学、大阪芸術大学、尚美ミュージックカレッジ非常勤講師、パリ第8大学客員研究員。(6)李 英姿「SEARCHING」(2015)作者のコメント
PROFILE 
李 英姿Yingzi LI |電子音響音楽作曲家、二胡奏者、ゲーム音楽制作ディレクター、洗足学園音楽大学非常勤講師 二胡専攻で大学卒業、中国でさまざまなコンクールで一、二、三等賞などを受賞。2007年来日、二胡奏者として日本各地で活動し、2020年二胡デビューCD「Beyond」を日本及び海外でリリース。2016年東京藝術大学音楽音響創造研究分野で修士課程を修了。電子音響音楽作品は日、仏、中国、米などな国際音楽祭や作曲コンクールにノミネート、上演された。